Square Kilometer Array(SKA) Africaに勤務するOmer Mahgoub氏と天文学分野のPCB設計
Omer Mahgoub氏、SKA Africa
Judy Warner: Omerさん、SKAとは何か、またかかわっている国やその目的について教えていください。
Omer Mahgoub: SKA(Square Kilometre Array)は、世界最大の電波望遠鏡を建設する国際的な取り組みです。1平方キロメートルの集光面積を持ち、2つの大陸(アフリカおよびオーストラリア)に設置されます。
10か国からなる組織がSKAのメンバーです。オーストラリア、カナダ、中国、インド、イタリア、ニュージーランド、南アフリカ、スウェーデン、オランダ、そしてイギリスが参加しています。
南アフリカのカルー地域
SKAを使うと、これまでにないほど詳しく宇宙を観測することができ、星や銀河がどのようにして今の形になったのか、それらが長い時間を経てどのように進化したのか、あるいはそれ以外のダークエネルギーやダークマターに関する天文学上の未解決の疑問を理解する助けとなるでしょう。
Warner: とてつもない事業ですね! 勤務先の会社名と、SKAを実現するための会社のおおよその役割を教えてください。
Mahgoub: 私は、南アフリカのSKA建設に直接責任があるSKA Africaで働いています。
Warner: 間違いなくワクワクする仕事ですね。PCB設計者としてのOmerさんの役割と、最大のチャレンジについてお聞かせください。
Mahgoub: 望遠鏡のアンテナから受信したデータの処理に使用される基板の設計を担当しています。
SKAは、技術や科学的な取り組みの限界への挑戦なので、最先端技術の開発と技術革新が必要です。SKAは、非常に高速な設計になるため、シグナルインテグリティーの点で基板設計は難易度の高い作業になります。また、機器の感度により、基板レベルのEMI(電磁妨害)の軽減の点でも難しい設計になります。
Warner: なぜ基板設計者になり、現在のポジションに落ち着いたのですか?
Mahgoub: 電子工学の学位を取得した後、最初の仕事はハードウェアの設計でした。PCBは専任の設計者がいたため、大部分がより上位レベルの設計と回路設計でしたが。Altiumが導入されると、使用が簡単だったので、他の電気技術者も自分の設計のレイアウトと配線を行うようになり、生産性が上がりました。
Warner: いい評価をしていただき、ありがとうございます。簡単に導入できるツールとおっしゃっていただき、うれしく思います。同じように設計分野に足を踏み入れようとしている他の電子設計者や、設計者としてのキャリアを始めようとしている若者にアドバイスがあればお聞かせください。
Mahgoub: PCBの設計を始める前に、PCB製造業者の能力を必ず把握してください。後から設計の変更を迫られることがなくなります。
アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計 - チリのアタカマ砂漠に建設された、口径12mのパラボラアンテナ66台
高周波電流に対する低インピーダンスのリターンパスとして動作する、プレーンのシールドアクションによるEMIを最小化する、放熱を補助するなどの理由から、GNDプレーンを使用することも非常に重要です。
慌てて配線を始めず、コンポーネントの配置にもっと時間をかけてください。コンポーネントのスペースを十分に確保してください。ただし、シグナルインテグリティーとより簡単な配線のため、トレース長を最小限にします。作成したコンポーネントのフットプリントは必ず他の人にチェックしてもらってください。
Warner: PCB製造業に長年携わってきた人間として、製造業者と緊密に連携することには大賛成です。連携によって、多くの時間やコスト、失望を減らすことができます。また、これまでに会った優れた設計者の方からも、同じように、最善の結果を得るには同僚と密に協力すべきというアドバイスをいただきました。Omerさん、SKAにかかわるお仕事についてや、刺激的なお仕事にPCB設計者として携わっていらっしゃる経験をお話ししていただき、本当にありがとうございました。
Mahgoub: どういたしまして。こちらこそ、お話しする機会をいただき、ありがとうございました。